凸版?グラビア?オフセット?インクジェット?様々な印刷方法について

皆様は「印刷」という言葉を聞くとどのような想像をされますでしょうか?
チラシやポスター、写真集など印刷物は多くありますが、実は、それぞれ用途や条件に応じて異なった方法で印刷されています。
今回は、それぞれの印刷方法の仕組みと特徴をご紹介していきたいと思います。

3大版式の仕組み

現在、インクジェット印刷やオフセット印刷など、印刷方法は数多くありますが、基本的な印刷の仕組みは印刷用紙へのインクの付け方によって大きく3つに分けられ、凸版(とっぱん)印刷、凹版(おうはん)印刷、平版(へいはん)印刷の3つを3大版式と呼びます。
ここからは3大版式それぞれの仕組みをご紹介していきます!

凸版(とっぱん)印刷

凸版印刷は最も長い歴史を持つ印刷方法であり、凹凸(おうとつ)のある版の凸部分にインクをつけ印刷します。
基本的な仕組みは印鑑と同じですね。想像していただくとお分かりになると思いますが、印鑑でのカラフルな表現は難しいですよね。
では、写真などグラデーションのある画像の濃淡はどのように表現するのでしょうか。
濃い部分には濃いインクをつけるなどの塗り分けは出来ないので、網点(あみてん)という細かい点で表現します。

凹凸のある版材の凸部分にインクをつけ印刷します

用語解説

網点とは?
網点とはその名の通り細かい網上の点のことを指します。この網点の大きさ、密度によって色の濃淡は表現されます。

凹版(おうはん)印刷

凹版の印刷方法は凸版印刷と正反対となっています。
印刷部分を凹状にした版にインクをつけ、そこから余分なインクをかき取り、残った凹部のインクで印刷します。
凸版印刷とは違い、写真などグラデーションの表現には網点を使わず、凹部の深さを調整しインクの付着する量を変えることによってグラデーションの濃淡を表現します。
凹版印刷の仕組みを利用した代表的な印刷方法であるグラビア印刷は写真集などの印刷によく使われています。

凹凸のある版材の凹部分にインクをつけ印刷します

平版(へいはん)印刷

平版印刷は版自体に凹凸をつけず、水と油の反発性を利用し印刷します。
製版時に印刷部分を油性にしておき、印刷段階で版に水を与えます。
すると油性になっていない非印刷部分だけ水を含み、この状態で版にインクをつけると、油性の印刷部分だけにインクが付着します。
写真などグラデーションのある画像の濃淡は、インクの濃淡で表現せず網点(あみてん)で表現します。
大部数の印刷が得意なオフセット印刷は平版印刷の仕組みを利用したものです。

版自体に凹凸をつけず水と油の反発性を利用し印刷します

「オフセット印刷=平版印刷」?

現在、「オフセット印刷=平版印刷」と思っている人が多いようですが、正確には異なります。
オフセット印刷は直接紙にインクをつけず、一度ゴム製のブランケットに移し(オフ)、ブランケットから改めて紙などにつけます(セット)。
このような間接的な印刷法をオフセット印刷と言います。

これまで3大版式の印刷の仕組みをご紹介していきましたが、それらとは印刷の仕組みがまったく異なるインクジェット印刷という印刷方法があります。

インクジェット印刷とはインクを非常に細かい粒子状にし、印刷用紙に直接吹き付けて印刷します。
版を作る必要がないので印刷のコストが抑えらえ、直接インクを吹き付けることで、他の印刷方法に比べ非常に鮮やかな色の表現が可能となっています。
また、インクジェット印刷が普及し始めたのは1980年代中頃といわれており、他の印刷方法よりも新しい技術となっています。
インクジェットについては下記のページで紹介しています。
1枚から格安でポスター印刷する方法

版は使用しません。インクをスプレーのように紙に吹きつけて印刷します。

3大版式とインクジェット印刷の特徴

3大版式と呼ばれる3つの印刷方法と、3大版式とは異なる新しい印刷方法であるインクジェット印刷を紹介しましたが、印刷の歴史を振り返るとかつては最も長い歴史を持つ凸版印刷が多く使われていました。
例えば、ゲラ刷り(校正刷り)、誤植(文字が誤って植字されること)など凸版印刷を語源とした言葉が多いのはそのためです。
ところが、グラビア印刷(凹版の仕組みを利用)やオフセット印刷(平版の仕組みを利用)が出てくると、凸版は徐々に衰退し、オフセット印刷が主流となっていきます。
ここからは3大版式の仕組みを利用した印刷方法とインクジェット印刷の特徴をご紹介していきます。

凸版印刷・・・力強さと活字の美しさが魅力

凸版の魅力は力強い仕上がりが得られる点にあります。
凸版はインキの付着量が多い上に印刷時、適度な圧力がかかるため、鮮明で力強くなり、コントラストの強い原稿や、シャドウ部のディテール再現に向いています。
しかし、製版に手間がかかりコストがかかるので、現在でははがきや名刺などごく一部の印刷物で使われています。

凹版印刷・・・グラビア印刷は写真の再現に最適

グラビアは網点を使わず、版の凹部にたまったインクの量で濃淡を表現するため、濃度領域が広く、写真のグラデーション再現に最も適しているといわています。
写真集などの印刷によく使われるため、皆様がよく知る現在のグラビアアイドルの語源にもなっています。
しかし、製版コストがやや高いため、大量印刷される雑誌などでなければ採算が合わないという問題があります。

平版印刷・・・オフセット印刷は大部数の印刷向き

平版印刷の仕組みを利用したオフセット印刷は版が平らですので、製版が比較的簡単となっており、
複版(原版から複製した版)も簡単かつ、高精度に作ることができます。
また、簡単に複版を作ることができるので、同じ版を複数枚ならべ印刷し、印刷代や時間の節約となることから大量印刷向きと言え、チラシ等の印刷によく使われています。
しかし、版を作る必要があるので少部数の印刷ではコストが高くついてしまいます。

インクジェット印刷・・・色の再現性の高さが魅力

インクジェット印刷は印刷用紙に直接インクを吹き付けるので、色の再現性が高く、発色が良い点が魅力です。
版を作る必要がないため印刷のコストが低く、納品スピードが早い点もポイントです。
また、一般的にポスターとして最大であるB0サイズ以上の印刷も可能であり、大判印刷に最適といえます。
しかし、他の印刷方法に比べインクの容量が少なく、
インクカートリッジの交換などこまめなメンテンスが必要なため大部数の印刷に弱い面があります。

まとめ
これまで説明してきた通り、印刷の方法には多くの種類があり、それぞれ長所と短所がありましたね。
オフセット印刷は大部数の印刷は得意ですが、少部数の場合はコストが高くつていしまうというデメリットがあり、
グラビア印刷は写真などのグラデーション印刷が得意ですが、大量印刷でないと採算が合わないというデメリットがあります。
また、凸版印刷は力強い仕上がりが得意ですが、製版に手間とコストがかかるというデメリットがあり、
インクジェット印刷は少部数の印刷は得意ですが、他の印刷方法に比べこまめなメンテナンスが必要なので大部数の印刷には弱いというデメリットがあります。
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