印刷や漫画の天敵である「モアレ」とは??

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ディスプレイ・印刷・漫画などで起きる「モアレ」って何?

「スマートフォンやデジカメでパソコンモニターやテレビ画面を撮影したら波のような縞模様が出た」
「網戸を重ねると不思議な模様が浮かび上がる」
「漫画でトーンを使うと印刷した際にマダラ模様で汚く見える」

私たちの日常生活や創作活動、印刷現場などで時折姿を現す不思議な現象。これが「モアレ(干渉縞)」です。
印刷や漫画制作では品質を損なう厄介な現象として知られますが、一方でアートやファッションでは独特の表現として活用されることもあります。
今回は、モアレの仕組みから対策、さらに活用例までを分かりやすく解説します。

モアレとは?

「モアレ」は、フランス語の「moiré(モワレ)」を語源として、もともとの意味は、絹織物や毛織物などに現れた波形の模様、いわゆる「杢目模様」や「水模様」を指す言葉でした。日本語では「干渉縞(かんしょうしま)」とも呼ばれています。学術的な定義としては「規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時にそれらの周期のズレによって視覚的に発生する縞模様」となります。
簡単に言えば「規則正しい似たパターンが少しズレて重なることで新たに波模様や斑点模様が浮かび上がって見える現象」です。

  • 同じパターンを使っているはずなのに
  • 全て同じパターンなのに角度がズレると違う柄に見える パターンを重ねるとさらに違う柄に見える

ではどのような場面で発生するのでしょうか。
モアレは平行線だけではなく碁盤の目のような平衡パターンでも発生します。身近な例としては

  • ストライプ柄の細かな柄の服をカメラで撮影したとき
  • 雑誌やポスターなどの印刷物をスキャンしたとき
  • 液晶ディスプレイをカメラで撮影したとき
  • 漫画のトーンを重ね貼りしたとき

等々

私が最近遭遇したモアレは、SNSで某知事がストライプ(タテシマ)のスーツを着てショート動画を配信してるときでした。動画でも発生するんだ〜。と感心しました。
このようにモアレは日頃、身近なちょっとした場面で印刷、撮影、デジタル表示など「規則的なパターン」がある環境では発生しやすいです。

モアレが発生する条件や仕組について深掘りします。

モアレが起こる仕組は「周期のズレによる干渉」です。ただし発生する媒体によって発生要因は異なります。それでは代表的なモアレ発生のケースと仕組を掘り下げます。

1.印刷物におけるモアレ(網点同士の干渉)

昔から印刷の世界におけるモアレは厄介者とされてきました。モアレは印刷で発生しやすいトラブルの一つであるからです。その理由として商業印刷で多くの印刷機※1は写真など各色の濃淡を表現するために「網点」という細かな点の集まりを使用しています。すなわち印刷物は極小の規則正しい点で構成されているのでモアレが発生しやすいのです。
また細かなストライプ柄などの被写体がもつ規則的なパターンなども重なれば各色の網点が干渉して周期的な色模様(モアレ)が発生してしまうことがあります。

※1 インクジェットやレーザープリンタ、銀塩写真などは除く

オフセット印刷機

2.スキャンにおけるモアレ(スキャナの読み取り格子(サンプリング)と、原稿の網点との干渉)

一度印刷された雑誌やポスターをスキャンする場合、原稿にはすでに印刷の網点があります。そこへスキャナーが一定間隔で画素を拾うために「原稿の網点ピッチ」と「スキャナの読み取りピッチ」のズレで干渉縞(モアレ)が出ます。

複合機・プリンターのスキャン機能

3.デジタルカメラやディスプレイでのモアレ(画素との干渉)

デジタルカメラやPCモニターといったデジタル機器でもモアレは発生しやすいです。デジカメの場合は内部の撮影素子が縦横に規則正しく配列されていて、被写体に細かな格子柄やストライプ模様がある場合、画素とピッチとの被写体の模様の周波数がずれることで干渉が起き、地図の等高線のような偽の模様が写真に写り込んでしまいます。ただしデジタルではないフィルムカメラの場合は感度粒子が不規則に配列されているためにモアレは非常に生じにくいです。

PCモニター

“モアレが発生する条件や仕組み”のまとめ

このようにモアレは「規則的なパターン」が存在するあらゆる場所でパターン同士が重なり合ったり、干渉することで生まれる現象です。他にもプロジェクターとスクリーン、遷移や衣服におけるモアレも発生しやすいとされます。

クリエイター必見!漫画や同人誌制作の際の「モアレ対策」

漫画や同人誌を制作しているクリエイターにとってはモアレはまさに「天敵」と呼ぶべき存在です。漫画制作では影や質感を表現するために「トーン」というものを多用します。トーンが規則正しく並んでいる網点の集合体なので少しでも扱いを誤ると印刷時にモアレが発生してしまいます。その原因と対策を解説いたします。

主な原因1:トーンのアミ点に「アンチエイリアス」がかかりグレーが使われている

「アンチエイリアス」は画像をなめらかに見せるために輪郭の境界部に中間の色(グレーの濃淡)を配置してギザギザを目立たなくする処理です。画面上で綺麗に見えても白黒印刷の場合、黒インク1色では中間色のグレー部分がうまく再現できずに網点の形が崩れてモアレ発生の恐れがあります。
また白黒の網点で作られているトーンの濃度(不透明度)を下げたりボカシを行う事でグレーになり同じくモアレが発生しやすくなります。
またグレーの塗りの上にトーンを重ねるのもよくありません。
要するに白黒印刷の場合はグレーになることで網点が印刷時にさらに細かく分解されて歪な形状の網点となり印刷機側の網点と干渉して激しいモアレが発生します。

主な原因2:異なる線数や角度のトーンの重ね貼りや配置後のトーンの変形

トーンには「線数」と呼ばれる、網点の細かさを表す数値があります。服の影を表現するためなどで複数のトーンを重ねて貼る場合にこの「線数(細かさ)」や「角度」が違うトーン同士を重ねると網点の間隔や形がランダムに干渉し合いモアレが発生しやすくなります。また一度配置したトーンを後から変形(拡大・縮小含む)させたり、角度を変えるために回転させると網点の形状が変形してモアレの原因となります。印刷機の再現能力を超える細かな線数のトーンを使用してもよろしくありません。

線数と角度の違うトーンを重ねたり、トーンを変形(縮小)したり、トーンの角度を回転して変えるとモアレが発生する

主な原因に対するモアレ対策

1.カラーモードはモノクロ2階調で制作しよう!

白黒印刷の場合はグレーを使わずカラーモード(色深度)は「モノクロ2階調」で制作を行いましょう。グレースケールで作業をして途中で2階調に変換してもアンチエイリアスがかかっていた部分がとんで網点が崩れモアレの原因になります。
また、トーンの不透明度を下げないように注意し、グラデーションを使いたい場合はトーンをブラシなどで削るのではなく初めからグラデーションになっているトーンを使用するかグラデーションの描画を後からトーン化(網点化)する処理を行いましょう。
入稿前にトーン化処理を忘れたグレーが残っていないか確認することをクセ付けましょう。
私も過去に、漫画の最後のページのみトーン化処理を忘れてグレースケールのまま入稿をしてしまい、色が薄かったために真っ白だった…なんて経験も。

  • モノクロ2階調化
  • グレースケール

2.トーンの線数と角度を揃えよう!

トーンを重ねるときは「線数」と「角度」は揃えましょう。「濃度(網点の大きさ)」は変えても構いません。また位置が合うように配置する事も大切です。

3.トーンの線数と角度は移動・変形しない!

そしてトーンを貼った後は「移動」「変形」はしないことが鉄則として画像を別のキャンバスに配置する際も配置用の原寸サイズでトーンを貼ってください。
またトーンの線数は高すぎないように60線〜70線程度にとどめておくのが安全で最も漫画らしい仕上がりになると思います。

最後に・・・

モアレはクリエイターの天敵として扱われやすいですが、それを逆手にとって活用する強者がいるのも事実です。本来意図しないはずのモアレでも視点を変えると全く別の表情を見せてくれ「わずかなズレから新しい模様が生まれる」と捉えることが出来、その特性を活かしたアートやインテリアデザイン、ファッションデザインも多く存在します。

モアレを利用したアート作品

印刷業界のDTPオペレーターや、同人誌を作る漫画家、あるいはカメラマンにとって、モアレは長年「画質を劣化させる憎き敵」のような扱いで嫌われてきました。トーンのアンチエイリアス処理のミスや、網点の干渉によって生じるあの不自然なマダラ模様は、多くのクリエイターを泣かせてきたに違いありません。
しかし、その発生メカニズムである「規則正しいパターン同士が重なり合い、周波数のズレによって新たな波模様が生まれる」という現象の仕組みをしっかりと理解すれば、モアレが単なる「ノイズ」ではないことに気づき、視覚を揺さぶる現代アートなど、モアレは私たちの生活の中で新しい美しさと機能をもたらしてくれる魅力的な現象となります。

日常の中でふと、網戸越しやスマートフォンの画面に不思議な縞模様を見つけたときは、ただ不快に思うのではなく、「パターンの干渉が織りなす物理現象」として少し目を留めてみてください。厄介でありながらも奥深く美しい、モアレの不思議な世界を感じることができるはずです。

この記事を書いたスタッフ

この記事を書いたスタッフ、星川の似顔絵イラスト

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趣味は田舎にいって星を眺めながら心を癒やすことです。