模造紙って何を模造した紙?起源や特徴などについて

模造紙って、なに?

学校行事の発表や掲示物、ポスター制作など、様々なシーンでちょうど良いサイズとして使用される「模造紙」。身近にあり、特に学生時代によく使用していた紙ですが、改めて考えてみると、模造紙ってどういった紙でしょうか。「模造(もぞう)」とつくので、何かの真似をした紙でしょうか?今回は、模造紙がなぜ「模造」紙と呼ばれるようになったのか?、主なサイズや厚み、そして、実は一部地域によっては呼び方が違う、といったことをご紹介していきます。
ぜひご参考ください。

模造紙とは?

模造紙とは、化学パルプを主原料とした薄く表面が滑らかな用紙です。
主にポスターや発表会などにおいて、大判サイズの用紙(=大きな用紙)が必要になった時に使用されることが多いかもしれません。
薄く表面が滑らかなため、鉛筆やマーカーなどでの筆記性に優れています。

※化学パルプ:木材チップを薬品で煮込み、不要な成分(リグニンなど)を溶かして取り出した、純度の高い植物繊維。強度があり、長期保存が出来るなどのメリットがある。

模造紙の起源

模造紙の起源は、明治時代初期にまでさかのぼります。
当時の大蔵省印刷局は、紙幣などの偽造防止のために、三椏
(みつまた)という樹木の皮を原料にして日本独自の紙を作りました。「印刷局の紙」から「局紙(きょくし)」と名付けられたこの日本独自の紙が、現在の模造紙の由来と言われています。

※みつまた:日本の代表的な和紙原料であり、コウゾ(楮)より繊維が細かいといった特徴をもつ。

  • 三椏 (みつまた)
    三又にわかれた枝先に黄色い小さな花が咲く樹木

  • 楮(こうぞ)
    つぶつぶの赤い実がなる樹木

そして、パリ万国博覧会(1878年開催)に局紙が出品された際には、高い評価を受けました。また、象牙色で半透明がかった外観から “Japanese
vellum”(日本の羊皮紙)とも呼ばれ、高価な紙でしたがヨーロッパにも輸出され、証券用紙やヴェルサイユ条約の原本にも使用されるほどでした。一方で、好評であった局紙に目を付けたヨーロッパでは、オーストリアの製紙会社が、「三椏
(みつまた)」ではなく安価な「亜硫酸パルプ」を原料にして、局紙を模造した紙を作りました。この紙は「模造局紙」と呼ばれ、局紙に比べ品質は劣るものの、価格が安く、印刷や筆記などで幅広く使用されることにより好評を得ました。ついには、日本に逆輸入され、日本国内でも広く使用されるようになりました。この現状に危機感を抱いた日本の製紙会社が、「模造局紙」をさらに模造と改良(白色化など)をして作ったのが、現在でも使われている模造紙の始まりと言われています。外国に真似をされた日本発祥の紙を、さらに日本が真似をしたということですね。

※亜硫酸パルプ:化学パルプの一種であり、繊維が細かいといった特徴をもつ。

模造紙のサイズについて

模造紙にはいくつかのサイズや形状があります。
一般的なサイズは「四六判(しろくばん)」(788mm×1,091mm)です。他にも、四六判を半分に裁断した「四六半裁(788mm×545mm)」といったものがあります。

※四六判など紙の寸法についてより深く知りたい方は、「追及すると奥が深かったA判とB判それぞれの馴れ初め」をご覧ください。

一般的な模造紙のサイズである四六判と四六判の半分のサイズである四六半裁に加え、B1サイズを比較したイラスト

四六判(一般的な模造紙のサイズ)と四六半裁とB1サイズの比較

四六判(一般的な模造紙のサイズ)と四六半裁の比較

そして、よく販売されているサイズとしては、四六判サイズの788mm×1,091mmや、なぜか長辺が四六判サイズより6mm短い788mm×1,085mmにカットされたもの、788mm×30m巻きなどのロールタイプといったものがあります。
ロールタイプの場合は、好みのサイズにカットが出来るので、必要に応じてサイズ調整が可能なのがありがたいですね。

模造紙(788mm×1,085mm)と新聞紙の見開きサイズ(545mm×812mm)を比較してみました。

マットの上に重ねられた模造紙とスポーツ新聞

なぜ市販品には四六判サイズ(788mm×1,091mm)ではなく、
長辺が6mm短い788mm×1,085mmが多い?

メーカーなどから正式な見解が発表されていないため、推論とはなりますが、B列サイズとの加工ラインの最適化が一因かと思われます。

なぜなら、1,085mmはB列本判の原紙サイズ(765×1,085mm)と一致しているからです。
原紙サイズとは、B4やB5といった最終的な仕上がりサイズにカットされる前の紙のサイズを意味します。より広く普及しているB列の加工ラインなどに合わせる方が、生産効率が良くなるため、1,085mmでの流通が多い要因かと思われます。

模造紙の厚み

模造紙の厚みは坪量(つぼりょう)で表示されることが多くあります。坪量とは、1平方メートルあたりの紙の重さ(グラム)を表したもので、g/m²で表示します。
薄口(約55g/m²)や厚口(約90g/m²)といった厚みもありますが、一般的に多く流通しているのは、坪量約81.4g/m²の厚みとなります。
人によっては厚みをイメージしにくいかと思いますので、目安とはなりますが、坪量81.4g/m²は約0.1mmといわれています。
一般的なコピー用紙は約64g/m²=0.09mm となるため、コピー用紙よりほんの少し厚いイメージとなります。
実際に、模造紙の厚みを測ってみました。

坪量81.4g/m²

無地模造紙の外箱

測ってみると、確かに0.1mmでした。

※製品によっては、多少の誤差が生じる可能性があります。

ノギスを使い模造紙の厚みを測定している様子

ちなみにコピー用紙も測ってみましたが、確かに0.09mmでした。

※製品によっては、多少の誤差が生じる可能性があります。

ノギスを使いコピー用紙の厚みを測定している様子

模造紙の種類

模造紙には3つの代表的な種類があり、それぞれ使用用途に合わせた特徴があります。

無地模造紙

最も基本的な種類です。
無地の紙面に自由に筆記などができるため、資料発表やポスター制作など、幅広い用途で使用できます。

方眼模造紙

一定の間隔でマス目が印刷されています。
文字や図を配置しやすく、文字量が多い発表資料や、表やグラフを描くことに適しています。

色模造紙(カラー模造紙)

黄色やピンク、水色、黒色など、様々なバリエーションがあります。
背景色として活用するなど、様々な使い道があります。

一部地域での呼び方

実は、模造紙の呼び方は全国共通ではありません。
全国的には模造紙と呼ぶ地域が多いですが、一部の地域では異なった呼び方がされます。以下は、それぞれの地域での呼び方と由来になります。

地域 呼び方 由来
山形県 おおばんし大判紙 「大判の紙」との意味が由来とされる
新潟県 たいようし大用紙 「大きな用紙」との意味が由来とされる
富山県 がんぴ雁皮 和紙の原料となる植物「雁皮」が由来とされる
愛知県・岐阜県 びーしB紙 B1サイズ(728mm×1,030mm)に近いことが由来とされる
愛媛県・香川県・沖縄県 とりのこようし鳥の子洋紙 模造紙の始まりとなった「局紙」が、和紙の一種「鳥の子紙」を参考に作られた用紙であることが由来とされる
熊本県・長崎県 ひろようし広用紙 「広い用紙」との意味が由来とされる
鹿児島県 ひろはばようし広幅用紙 「広い幅の用紙」との意味が由来とされる

まとめ

一口に模造紙と言っても、サイズや厚み、方眼入りや多様な色など、様々なバリエーションがありました。また、模造紙の起源については、元々は日本発祥の紙でしたが、品質の良さゆえに外国に模造をされ、さらに日本が模造された紙を模造するといった、紆余曲折な歴史がありました。今回の記事を執筆するにあたり、身近な紙一枚にも、こうした歴史や背景があるんだなと、考えさせられた次第です。

この記事を書いたスタッフ

この記事を書いたスタッフ、文本の似顔絵イラスト

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文本推しメディアは合成紙+グロスラミネート

web制作(コーディング)を中心に担当。最近、ロードバイクにはまってます。